自閉スペクトラム症(ASD)について
自閉スペクトラム症(ASD)は、かつて自閉症やアスペルガー症候群と呼ばれていたものが統合された概念です。「スペクトラム(連続体)」という言葉通り、症状の現れ方や強さは人によって千差万別。まるで虹の色がグラデーションになっているように、明確な境界線はありません。
ASDを「治すべき病気」ではなく、一つの「脳のタイプ」や「個性」として捉え、その特徴を理解した上で環境を整えることが、自分らしく生きるための第一歩です。
1. 自閉スペクトラム症(ASD)の主な特徴
ASDの特性は、大きく分けて以下の3つの柱で説明されることが多いです。
- 対人関係やコミュニケーションの独特さ
- 「場の空気」や「行間」を読むのが苦手で、言葉通りに受け取ってしまう。
- 相手の表情や目線から感情を察することが難しく、一方的に自分の話をしてしまうことがある。
- 強いこだわりと反復的な行動
- 自分のルーティン(手順)が崩れることに強い不安や苦痛を感じる。
- 特定の分野に対して、専門家顔負けの並外れた集中力と知識を持つ。
- 感覚の過敏さ、または鈍麻(どんま)
- 特定の音が雷のように大きく聞こえる、服のタグがチクチクして耐えられないといった「感覚過敏」。
- 逆に、痛みや寒さに気づきにくい「感覚鈍麻」を持つ場合もあります。
2. 生きやすくするための具体的な工夫
社会という「多数派のルール」で動く世界で、ASDの特性を持ちながら快適に過ごすための戦略を紹介します。
① 「見えないもの」を視覚化する
ASDの人は、耳で聞く情報よりも視覚的な情報を処理するのが得意な傾向(視覚優位)があります。
- スケジュール管理: 「適当な時間に」は禁句。カレンダーアプリやToDoリストで時間を「見える化」しましょう。
- 指示の具体化: 曖昧な指示(例:「あれを適当にやっておいて」)には、「いつまでに」「何を」「どの程度」すべきか、メモやメールで具体的に確認する癖をつけます。
② 環境を自分に合わせる(環境調整)
根性で我慢するのではなく、道具を頼ってストレスを減らしましょう。
- 感覚過敏への対策: ノイズキャンセリングヘッドホンや耳栓(イヤープロテクター)を使って、脳に入る情報量をコントロールします。
- 避難場所の確保: 刺激が強すぎて「オーバーロード(脳のパンク)」が起きそうなとき、一人で静かに過ごせる場所をあらかじめ決めておきます。
③ 「マニュアル化」と「自己開示」
- 定型文を作る: 挨拶や世間話など、苦手なコミュニケーションは「型」を作って暗記してしまうのが楽です。
- 得意・不得意の共有: 周囲に「急な予定変更は苦手なので、早めに教えてほしい」「指示はメールでほしい」と伝えておくことで、摩擦を未然に防げます。
まとめ: 「普通」を目指すより「快適」を目指そう
ASDの特性は、裏を返せば**「誠実さ」「高い集中力」「独自の視点」**という素晴らしい武器になります。「みんなと同じようにできない」と自分を責める必要はありません。
大切なのは、自分の取り扱い説明書(マイ・マニュアル)を少しずつ作り上げていくことです。
(吹田市 児童発達支援)コドモコラボ吹田校

