ADHDの「落ち着きのなさ」は才能の原石。現場で活かす強みの見つけ方と支援のあり方

ADHDの「落ち着きのなさ」は才能の原石。現場で活かす強みの見つけ方と支援のあり方

「あの子はいつも落ち着きがない」「仕事のケアレスミスがどうしても減らない」。

障害福祉の現場で、毎日泥臭く奮闘する皆さんは、こんな悩みを頻繁に耳にするのではないでしょうか。放課後等デイサービスで突然走り出してしまう子どもや、就労継続支援等で作業に集中できず周囲と摩擦を生んでしまう方たち。日々の対応に追われ、どう支援すべきか葛藤することも多いはずです。昨今、大人の発達障害も広く認知され、支援を求める声は急増しています。しかし、その「困りごと」は、支援者の視点を少し変えるだけで、社会を動かす強烈な「武器」へと変わるのです。 ADHD(注意欠如・多動症)の主な特性である

「不注意」「多動性」「衝動性」は、脳内の機能的な偏りが背景にあると言われています。児童発達支援や就労支援の場において、私たちはつい「社会の枠組み」に適応させようと、行動のコントロールを目標に据えてしまいがちです。しかし、大切なのは「特性を消す」ことではありません。視点を反転させてみましょう。 「多動性」は、圧倒的な「行動力」や「エネルギッシュさ」の裏返しです。 「衝動性」は、躊躇しない「決断力の速さ」や「新しいことへのチャレンジ精神」と言い換えられます。

「不注意」は、「多角的な視野」を持ち、「次々と新しいアイデアを生み出す豊かな発想力」の証拠です。 報酬改定等でも個別のニーズに応じた専門的な支援が求められる中、この「ストレングス(強み)」に焦点を当てたアプローチこそが、制度の理念を真に体現する支援と言えます。

とはいえ、支援の最前線は綺麗事だけでは回りません。グループホームでの共同生活や就労移行支援の場面で、スケジュールの抜け漏れからトラブルが起き、現場のスタッフが疲弊してバーンアウト(燃え尽き症候群)寸前になることも少なくないのが「リアル」です。

サービス管理責任者や児童発達支援管理責任者が個別支援計画を作成する際も、「いかに問題行動を減らすか」に気を取られる葛藤があります。 発達障害のある方への支援においては、予定などの見通しをわかりやすく伝え、感覚の特性(過敏や鈍麻)に留意して安心できる環境づくりを行うことが不可欠です。

ここで求められるマインドセットは「枠にはめない勇気」です。彼らの角を削るのではなく、尖った部分がハマる社会の隙間を探すこと。抜け漏れを防ぐための構造化という「守り」の支援を徹底し、認知の偏り等の個々の特性に配慮しつつ、彼らが発揮する「過集中」という「攻め」の強みをどう引き出すか。支援者自身が彼らの可能性を信じ抜き、失敗を許容できる安全な環境を作ることが重要です。

明日から現場でできるアクションとして、まずは担当する利用者の「好きなこと」「時間を忘れて没頭していること」を一つ、真剣に観察して見つけてみてください。そして、「ここがダメだね」と指摘する代わりに、「その発想、すごく面白いね!」「行動力が素晴らしいね」と、言葉にして本人に伝えてみましょう。 ADHDの特性は、決してマイナス要素ではありません。彼らの中に静かに眠る「才能の種」に気づき、水をやり、花を咲かせるのは、他でもない私たち支援者の温かい眼差しと専門的な伴走です。

正解のない福祉の世界ですが、明日からも一緒に、現場で泥臭く、そして笑顔で支援の道を歩んでいきましょう。

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