「できる子なのに、なぜ?」ギフテッド2Eの子どもたちを理解するために
「できる子なのに、なぜ?」ギフテッド2Eの子どもたちを理解するために
「難しい漢字は読めるのに、忘れ物が多い」
「大人顔負けの知識があるのに、友達とのやり取りではつまずく」
「興味のあることには何時間でも集中するのに、簡単な宿題はできない」
こうした、一見すると“アンバランス”に見える子どもがいます。
その背景を考えるとき、知っておきたい言葉の一つが**「ギフテッド2E(Twice-Exceptional)」**です。
大切なのは、「能力が高いから大丈夫」とも、「苦手があるから能力も低い」とも決めつけないこと。
その子の中にある「得意」と「困りごと」の両方を見ることが、支援のスタートになります。
「2E」って、どういう意味?
2Eは「Twice-Exceptional(2つの特別さ)」を表す言葉です。
一般的には、高い知的能力や特定分野で際立った力を持つ一方で、発達障害や学習上の困難などを併せ持つ子どもを理解する際に使われます。
たとえば、
- 高い理解力がある一方、ASDの特性から対人関係に難しさがある
- 豊かな発想力がある一方、ADHDの特性から注意や行動の調整に苦労する
- 数学では突出した力を示す一方、読み書きには大きな負担がある
といった姿です。
ただし、「ギフテッド2E」は日本の障害福祉制度上の障害名や医学的な診断名そのものではありません。
そのため、「2Eだから放課後等デイサービスを利用できる」という単純な仕組みではなく、実際の生活上の困りごとや発達特性、支援の必要性を丁寧に見ていくことが重要です。
「できる」が、困りごとを隠してしまう
2Eの子どもの支援で難しいのは、得意な部分が非常に目立つため、苦手な部分が「本人の努力不足」と受け取られやすいことです。
「これだけ頭がいいんだから、できるでしょう」
この言葉は、本人にとってかなり苦しい場合があります。
本人自身も、
「分かっているのにできない」
「みんなが簡単にできることが、自分には難しい」
という矛盾に悩むことがあります。
逆の問題もあります。
集団行動が苦手だったり、感情が大きく崩れたりすることで、「困った子」という部分ばかりが注目され、その子が持っている驚くほど豊かな知識、創造性、集中力、感受性などが見えなくなることです。
つまり2E支援では、強みが弱みを隠し、弱みが強みを隠すことがあります。
ここを見抜くことが、とても大切です。
「苦手を平均まで上げる」だけが支援ではない
福祉や教育の現場では、どうしても「できないこと」に目が向きます。
座っていられない。
切り替えられない。
友達とうまく遊べない。
指示を聞けない。
もちろん、生活上の困りごとへの支援は必要です。
でも、その子が宇宙の話を始めた瞬間に目を輝かせるなら、その興味も立派な支援資源です。
電車、歴史、昆虫、プログラミング、音楽、数字、絵――。
「そればかりやって困る」ではなく、**「この強みをどうやって社会や人とのつながりに広げられるだろう?」**と考えてみる。
好きなものを入り口にしてコミュニケーションを増やす。
得意分野を役割につなげる。
苦手な課題にはICTや視覚的な手がかりを使う。
支援とは、すべてを平均に近づけることではありません。
凸凹があっても、その人らしく力を発揮できる環境をつくることも大切な支援です。
明日から「できる・できない」の間を見てみよう
支援者や保護者に、ぜひ試してほしいことがあります。
「できない」で終わらず、
「どんな条件なら、できる?」
と考えてみてください。
一人ならできる。
好きなテーマならできる。
口頭指示は難しいけれど、文字なら分かる。
静かな場所なら集中できる。
そこには、その子を理解するためのヒントがあります。
ギフテッド2Eという言葉で子どもを分類することが目的ではありません。
大切なのは、目の前の子どもの中にある**「すごい」と「しんどい」を、どちらも本物として受け止めること。**
「できるはず」でも「できない子」でもなく、
「この子は、どうすれば力を発揮できるのだろう?」
その問いを持ち続けることから、本人の可能性を生かす支援が始まります。


